中島 四式戦闘機 疾風 再考

再考 2011/02/12
アルファモデル 中島 四式戦闘機 疾風。
配備したのは2007年1月3日
RCを始めた初期の頃ですね。零戦をメインとする中での二番機として配備しました。
今も色々とやりたがりですが当時はだんだんとRC飛行機に慣れてきた事もあって尚更アレもコレもなやってみたいピュアな時代・・・その中で行った4ch仕様がアダとなり当時の稚拙な工作精度(今もあまり変わりませんが)もありFLTが気難しく、この後に配備した3chと簡易なBf109Gが思いのほか気負いが少なく二番機となってしまい気難しい疾風の出番を少なくしてしまいました。
ごくまれにFLTでほとんど部屋に飾りっぱなし・・・そんな中で見た目はよくとも経年劣化は進み、過去の修理痕もひどくなり、日の丸も退色して今やちょっぴりピンク系。
まずは状況確認!
風防を外してみると・・・当時としては技術の粋を結集して作製していたはずだけど・・・今となってこの荒さを見ると寒くなります。

とりあえず作業の荒さは一旦置いといて、バッテリーホルダー・サーボトレイを兼ねるベニヤを固定している接着剤が剥離してグラグラ状態。
未熟な着陸の繰り返しで主翼下面はキズだらけ、スチロール部分もパリパリと割れております。 
尾翼が折れた際に裏面にカーボン板を貼っていました。
キズ修復個所はガサガサになっています。
風防も曇りまくっています。
純正の風防は墜落の際に破損させたのでコレはお手製!
真空成型器「桃象」の初めての仕事でした。
エンジンカウルも未熟着陸で割れてしまってます。
機首も心なしかグラつくような・・・。
排気管も収縮チューブそのまま感がなんとなくNGな感じに。
接着してあった胴体と主翼を分離しました。
最初、主翼は取り外し式でしたが、ある日主翼を取り付けた際にエルロンサーボのコネクタをさし忘れたまま手投げ!奇麗に左に旋回しながら手すりに激突し主翼分裂・・・その時の修理痕が生々しく残っておりますな〜・・・懐かしい・・・。
これ以後、主翼は胴体に接着固定としていました。
スチロール割れ、コレはいつなったんやろ?
ま、何度か墜ちていますから・・・。
旧主翼固定用の板もボロボロ、接着固定にするなら撤去すればいいのに!と今更思う。
胴体修復 2011/02/13〜23
まずは胴体の修復から!って事で
内容物を撤去しました。
グラグラな航空ベニヤ・・・右は外れかかり、左はしっかりとくっついている。撤去しようとすると意外に左が頑張って簡単にはいかなかったりします。
胴体がバキっとならないよう慎重に!と思えどだんだん熱くなります。
リンケージパイプの固定部・・・必要以上にデカイ!厚い!
コレも撤去しました。
機首内側、防火壁裏面の作業痕が酷い、周囲には修理の度に貼りつけたバルサパッチがあります。う〜ん、懐かしい。 
バルサパッチもだいぶ剥がれかかっていたようで比較的容易に撤去できました。
機首下面の修理痕・・・これだとグラグラとするのも当然ですね。
バルサパッチも弱まった状態でこのままFLTさせていたら途中で機首がもげてたかも?
補強の方は以前のようなバルサのパッチは貼らず、エポマイクロバルーンを塗りこんで固めようとおもいます。
筆で塗りこんでいきますので30分硬化型エポキシをある程度柔らかくなるまで暖めております。
もう塗装に使用しない平筆でエポマイクロを機首内面および胴体側内面に塗りまくりました。
オイル冷却口の割れて欠けてしまった個所にもエポマイクロを補充。
主翼取り付け個所の割れた部分も裏にエポマイクロを塗布しました。
胴体表面には過去の歴戦?の傷跡から裂けかかっているのでココにもエポマイクロを塗布です。

内面、表面問わずエポ硬化後の見た目はあまりよくありませんが剛性復帰と補強は無事にできたようです。
バッテリーの搭載位置と搭載方法を変更しようと思うのでここで一旦機首上面を切り離しました。
胴体前方にサーボと受信機のトレイとなる3mm航空ベニヤを設置。今回はラダーをキャンセルする事にしましたので穴は一つです。

後方は搭乗員を座らせるスチレン板です。
大抵の場合、修理調整を重ねていくと後方がどんどんと重くなるので重量物になるバッテリーの搭載位置を前方に移動させる必要が出てきます・・・私の場合。
そういう事でサーボトレイ前にバッテリー搭載の斜め板を装備。
いつものようにマジックテープで固定となります。少しでも前に前に・・・。
キット本来はこの風防を取り外して機器アクセスにバッテリー搭載なのですが、先のようにバッテリー搭載位置を変更したのでコレにも変更をかけました。
まず、窓枠はアルミテープで作り直すので既存のスチレン製窓枠を除去。
風防は機体に接着固定にします。
ただ、それだとメンテナンス開口部が狭いので風防前方の機首上面部を切り離しました。
風防前と先に切り離した機首上面を接着しました。
これをメンテナンスハッチとし、前部のツメでひっかけて後部のマグネットで固定します。
ここでまず搭乗員に載っていただきます。取り付け座にしっかりと接着。
風防も接着固定です。この状態がメンテナンスハッチが閉じた状態。
メンテナンスハッチを開けるとこのような感じです。
なかなか快適にFLTできなかった一因!制作未熟のラダー。
リンケージ動作が渋く舵残りがあたようで・・・それが難しさに繋がっていたと思われます。まったく基本がなっていませんでしたわ。
ま、今となればそれもまた懐かしい思い出か・・・。
その懐かしい思い出ごとラダーを一旦カットいたします。
ラダーは動作させないのでヒンジを抜き。ホーンは取り外しました。
切断面がカビたパンのようだ・・・疾風は初めは銀色、次に緑に、また銀に戻すなんてしたので地層のように断面に表れています。
このような一品が出てくるとだんだんと自分らしい方向にブレてきたような。

また銀で再塗装っと考えていたものの修復などなど歴戦の痕跡が下地にしっかりとあるのでかなり厚化粧をしなければいけない・・・そう思っていたところで目に入ってしまいました。
今までの経験上、厚塗り塗装でキズかくし・・・とくに銀の場合は大きく重量が増えます。どうせ重量が増えるのならこれを貼り付ければ塗装はいらないし、銀の厚塗装よりも七難を隠しやすいかな!とだんだんと肯定思考に走ります。
アルミテープ貼りの思い出 RC飛行機を始めた頃にも一度アルミテープ巻きをした事がありました。
あの時はGWS零戦の表面のガサつきがイヤで貼ったものの配管工事用のゴツイ(確か1.0mm〜1.5mmほど)アルミテープで重量増大!
まだブラシレスモーターもリチウムポリマーも知らずアンダーパワーな飛ばせていない時期だったので尚更の事に結果は無残でした。
今はどうかな〜?とにかくやってみたい!やってみたい!
あまりこんな事している人いないようだし、どうなるものか実験を兼ねてやってみよう!
アルミテープも厚みや光沢が何種類かありまして・・・。
今回は0.5oと0.3oを箇所に分けて使用します。テープの厚みだけの考えですがこれで重量増加は過去のものに比べて半分くらいのはず・・・。

ややにぶい光沢と鏡面加工のような光沢があります。
日本機には左の光沢がにぶい方が合いそう!逆にワックスをしっかり塗布されたP-51Dなどアメリカ陸軍機には右の鏡面光沢が合いそうだな〜。
モールドに合わせてカットしペタペタ貼ります。
画像ではわかりにくいのですが銀塗装もカメラのフラッシュによってはある程度の輝きがあるように見えますが実際はかなり落ち着いてます。
ペタペタ貼っていくと何となくジュラルミン復活って感じ。
風防窓枠にもアルミテープを施し、とりあえず見た目はよくなった。
さて、完成した際の重量はどうなりますやら?
これも当然、銀ピカにしなければなりません。
とりあえずはカウル下のヒビにエポマイクロを裏打ち。
扇状にカットしたアルミテープを順に貼っていきます。
少々貼り合わせたラインが気になりますがカウルも銀ピカ!
主翼修復 2011/02/24
アルファ機の主翼はキット開梱時点で左右一体ですが中央に接着したように見えないのは上下貼り合わせの主翼なんでしょうか?
左右主翼にカンザシは入っていますが中央は接着されていないようで無理がかかると主翼パカーンとなるようです。
私の場合はそこまでグリグリとFLTをする事はできないのですが念のため処置を施しておきます。
カンザシ中央部をカットして確認・・・一見、中央は接着で繋がっているように見えますが左右で分割されています。
カンザシ中央を繋ぐ部材を作りました。
2mmバルサを2枚重ねて接着、凹んだ個所はエルロンサーボに干渉しないためです。
主翼中央に埋め込み接着しました。
主翼下面に今までの擦り傷がたくさん。
抉れのひどい個所にエポマイクロを塗布しました。
主翼にもアルミテープ。
まず前縁に巻くように貼ってから順に後方まで貼っていきました。
実機の場合、エルロンの羽布張りはジュラルミンではなく銀ドープ塗装のためアルミテープは貼りません。エレベーターとラダーも同様です。
アルミテープを貼った跡に元のモールドがうっすらと見えるのでそのラインにそって爪楊枝を這わせてモールド再生。
ルレット登場!
他のサイトなどで良く見かける洋裁道具です。
一度やってみたかった!コレをコロコロとするだけでリベットを再現しているのを見て面白そうだと思った。
リベットを入れる前です。
状態を見ながらコロコロっと少しずつ入れてみます。
全てのリベットを表現すると穴だらけで何が何やらわからなくなりそう・・・。
結局、コロコロはモールドの周囲にだけにしました。
色々とやり過ぎるとスケール感の向上よりもオモチャっぽさが台頭するような気もします。
まぁ、雰囲気だけ味わえたらそれでいい感じですな!
主翼に合わせて胴体もやっておきました。
機器再搭載 2011/02/26
アルファモデルはエルロンサーボは主翼に埋め込み、ラダーを廃止したのでサーボトレイにはエレベータサーボと受信機だけのサッパリとした感じになりました。
アンプの搭載位置をアレコレと考えてましたが機首上面の裏側にしか貼りつける場所がありませんでした。
う〜む、それにしても・・・機首内面のエポキシ固めの見た目が鍾乳洞のようになっています・・・。
いにしえにTOSからいただいたAXI 2212/20 今回も心臓として頑張っていただきます。
以前はこれでもか!ってくらいサイド及びダウンスラストが入っていましたが、昨今はさすがにそこまではいらない!って理解したので是正しています。
なんか・・・ひとつひとつが懐かしいな。
組み付け 2011/02/26
切り離してあったラダーを再度取り付け。
可動させないのでそのままエポで接着です。
排気管を新規に作製。
疾風用に12本、これからの事も考えて予備も作っておきました。
排気管を取り付け。
何か変わった?
まぁ、違いがあるのかないのかは気分の問題です。
胴体と主翼を接着。
アルファモデルはいつも使用している瞬間接着剤のテトラ ナンバー1が効かないので主にエポキシで接着しフィレットなどはUFO低粘度接着剤で固定しました。
今まで使用していたダミーエンジンのハ45。
重心合わせのため20gのバラストを兼ねて半田グルグルでその上にスチレンのシリンダーを貼っていたようです。
これも今となって見ると何とやら・・・。
今回はバッテリーを前方配置にしたのでバラストの役目はなくスチレンのみ、となるので新規に作りました。
以前はバラストのためかさを増して前方に持っていきましたが今回バラストの必要がないので防火壁に直接接着。
本来の奥まった感じになるといいな。
塗装・マーキング 2011/02/27
アルミテープにより当然全体塗装は必要ないのでラインの赤や黄色を入れていきます。
塗装前にあらかじめ塗装箇所をペーパーがけしました。アルミテープ相手だと塗料の食いつきが悪いので多少は効果があればいいのですが・・・?
尾翼の部隊マークは以前の痕跡がしっかりと残っているので今回も同じ飛行第246戦隊です。
塗装の後に国籍や機体ナンバーなどの作業です。
今回も水転写シールを使用。日の丸とその他は水転写のベースが違います。
日の丸は発色をよくするため白ベースの台紙、銀や他の色彩の上でも本来の色が再現できます。
ちなみに陸軍機の日の丸は海軍機よりも濃い赤となっております。
その他の文字などは下地の銀が周囲に出るよう透明ベースの台紙を使用しました。
下地の影響を受けますが下地が銀ならば充分機能します。
仕上げにシール部にトップコート光沢を吹き付けて作業完了しました。
吹きかけておけば水分を弾いてくれます。これをしておかないと水分が多く付着した時にマーキングが滲んでしまいます。
再配備 2011/02/27
とりあえず見た目上は復活した四式戦闘機 疾風・・・です。
全備重量は修理前の582gから50g増えて632g、翼面加重は48.3g/duから52.7g/duとなりました。
最近は紫電改を作っていたからなのか重量の感覚がマヒしているのか「まぁ、妥当なのかな!」って思ってしまいます。全面にアルミテープ貼りまくった割にはこの程度で済んだって感じがするような・・・ま、実際にFLTさせてどうなりますやら?それ見たことか!ってならないようにしないと・・・作ってから怖くなりますわ。
大戦中の陸軍機には他に一式戦闘機 隼、二式戦闘機 鍾馗、三式戦闘機 飛燕、飛燕から改修した五式戦闘機がありますがやはり疾風が一番かっこよく思います。九七戦から隼、鍾馗、と繋がってきた中島の戦闘機の集大成としてのたたずまい!
戦時における物資や人材の不足により満足に活躍できませんでしたがこれは疾風の責にあらずです。
これは守勢におかれた国の状況ならばどこの国も同じでしょう。
国家の存亡を賭けていた日本と景気対策の公共事業として参戦していたアメリカとは戦う本質がちがいます。
当時の日本には欧米各国から世界覇権獲得の欲望ため様々な圧力がありそれがハンディだった。アメリカが逆の立場であれば同じ事になっていたと思います。
ハ45も奥まり以前よりはそれっぽくなった感じかな。
今回の改修に関しては色々な個所の作業痕や部材を見るにつけ、当時を思い起こし懐かしい感じがしました。当時はこれでも一生懸命だったんだな〜。
あれから何が変わった?たいして何も向上していないし何かが変わってもいない!となるのですが、それでも自分なりに時間が経過し忘れてしまっていた気持ちがあるのだと思ったりしました・・・。




修理前と後で並べてみました。
FLTがうまくいったとして・・・上空でどのように見えるか楽しみです。

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